Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

札幌雪祭りを観たのだ(人生2回目)

f:id:somewereborntosingtheblues:20180211001647j:plain

札幌で二回目の冬を過ごしている。そして、二回目の雪祭りの季節がやってきた。
去年は、札幌で一人だったから、雪祭りも味気なかった。今年は相方と二人で観に行くかと思っていたら、相方から言われた。
「水曜と金曜に雪祭りに行ってくるね!」
水曜と金曜? 二回行くというのはどういう意味だろう。
「職場の人が、初めての雪祭りだから、一緒に観に行こうって誘ってくれたんだよ」
へえ、それは良い事だな。だとすると、俺は行かなくていいのかな。
「でね、Cさん(相方が札幌で作った新しい友人)も初の雪祭りだから一緒に行こうって言ってくれてさ。職場の人と行くからいいよって、言えなかったんだよねー」
あははは。納得した。確かにせっかくのCさんの心遣いだ。「もう観に行く約束あるから、遠慮しとく」とは言えないわな。

相方は水曜と金曜に二回、雪祭りを観て来た。二回目の金曜は雪祭りというよりも、Cさんと居酒屋に行ってお喋りを堪能してきたようだけれども。
俺は金曜は21時まで残業していたので、ちょっと帰りに寄って雪像を眺めて来た。さすがに9時過ぎになると、見物客もだいぶに少なくて回り易くて良かった。

f:id:somewereborntosingtheblues:20180211001732j:plain

雪像を観ながら、ちょっと不思議な気分になった。雪祭りを体験するのは二度めだ。札幌で暮らしているのだから、仕事帰りにちょっと「雪祭りを観てから帰るか」と出来るのも、札幌市民の特権だ。
そう、俺はもう札幌市民なんだよなあと。
東京にいた頃は三月末になると、近くの公園へ桜を観に出掛けた。それが東京での「年中行事」だった。ここ札幌ではそれが「雪祭り」になるのだなあと。

f:id:somewereborntosingtheblues:20180211001752j:plain

昔、知人から教えて貰った「ONE」という小説の事を思い出した。主人公の元にある人物がやってきて、その人物は「私は貴方が選択しなかった人生を選んだもうひとりの貴方です」という話なのだ。
なんか判り辛い要約だが、意味としてはこうだ。
人生には無数の選択肢がある。右に行くか、左に行くか、白を選ぶか、黒を選ぶか。その時選んだ結果が自分の人生である。だが、その時選ばなかった選択肢を生きているもう一人の自分の世界も世の中には存在するという。説明したら返って判り辛くなったような気がする。

もっと判りやすくしよう。
喫茶店の焼肉ランチ。これは食後に珈琲か紅茶が付く。そしてパスタランチ。こちらも同様の飲み物が選択出来るとする。
貴方はどれを選ぶか。

そうなると、まず焼肉、パスタという二つの選択がある。さらに飲み物。
A:焼肉→珈琲
B:焼肉→紅茶
C:パスタ→珈琲
D:パスター→紅茶
ここで選択肢が四つに分かれる。Aを選ぶ貴方もいれば、結果としてDになった貴方もいる。つまり人生とはこういった無数の選択肢の積み重ねで構成されているのだ。
「そんな事言ったら、同じ人間でもバリエーションが億単位以上あるじゃねーか!」という話になるだろう。その「ONE」という小説はその辺りをどう書いてたのかな。いかんせん、教えて貰ったのが20年以上前なんで詳細は忘れた。

一昨年の夏、フリーランサーで下請けシステムエンジニアとして働いていた頃、たままた相方の友人から「札幌で仕事あるけど、面接受けてみない?」と誘われた。受けた結果採用され、札幌へ来た。
その面接を受けずに、フリーランサーとして東京で仕事を続ける選択もあった。また、採用通知が来た後で「やっぱり長年慣れ親しんだ東京を離れるのはしんどいなあ」と採用を断る事も出来た。
これはほんの一例だ。俺が札幌に来る事になった要素はそれこそ数えきれないほどある。俺がその時点その時点で選んだ選択肢の結果の積み重ねとして、目の前に札幌雪祭り雪像があるのだとも言える。

f:id:somewereborntosingtheblues:20180211001924j:plain

あの時、あっちを選んでいたら…、あの局面で別の打開策を考えていたら…、その一つが違っていても自分はこの雪像を観ていないだろう。
毎年毎年、雪祭りを観るような状況にはなっていなかっただろう。それどころか、俺は人生で一度も札幌雪祭りを生で観ないまま終わった可能性だってある。むしろその可能性のほうが高い。

そう考えたら、過去のささやかに思える出来事や、人との巡りあいで無駄なモノや省いていいものなんて一つもないんじゃないかという気すらしてくる。

そもそも、昨日仕事帰りにふと思い立って雪祭りを観に行ったから、こんな事を俺は考えたのだ。雪祭りを観ていなかったら、今日のエントリは書かれていない。ま、Blogの一記事を書く書かないがその後の人生にどう影響するかなんて誰にも判らないけれど。
でも、雪祭りを観た自分と観ない自分、この時点で世界は枝分かれしているのだ。

明日、貴方が初めて会う人や初めて行く場所で、人生の岐路に影響するような選択肢が、貴方を待っているかもしれない。