Some Were Born To Sing The Blues

酒好き、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。

パーキングメーターに気を付けろ

ついこの前、「そうか、人はこうやってストーカーになるのかあ」と思った事があったので、その出来事とそれに付随して思い出したストーカー話を記しておく。
数日前の事。東京駅で、俺は乗換通路を歩いていた。俺の前を女性が歩いているのが見えた。後姿だから年齢とかは判らない。だが、服装の雰囲気からして、若い女性なんだろうなあというのは判った。
と、彼女が何か落とした。銀色に光る小物。拾い上げてみると、それは自転車の鍵のようだった。俺はちょっと急ぎ足で彼女に追いつくと、軽く肩を叩いた。彼女が振り向く。女優の多部未華子さんに似た雰囲気のやはり若い女性だった。
俺は拾った鍵を差出し、「落としましたよ」と言う。彼女がそれを受け取りながら笑顔で言う。
「わぁ、ありがとうございます」
俺はちょっと感心した。こういう場合、「あ、すみません」と何故か謝る人が多い。こういう場合は「ありがとうございます」が正解だ。そしてその彼女の笑顔が素敵だった。未華子ちゃん(仮名)は可愛らしい面立ちだった。
そして、そのまま彼女はまた歩き出す。無論、俺も同じように歩き出す。俺は彼女の笑顔を反芻して「可愛かったなぁ」と思う。ほんの30秒だけだが、俺は彼女に惚れた。だが、乗換の電車に乗る頃は、俺はもう未華子ちゃん(仮名)の明確な顔形を忘れた。唯一ぼんやり覚えているのは、女優の多部未華子さんに似ているという事だけだった。俺以外の人が同じような経験をしたとしても、同じような感想を持つだろう。
俺は乗換電車の中で思った。ああ、そうか。こういう経験をした時に「さっきの彼女の顔、もうちゃんと覚えてないけど、可愛かったなぁ」と思うのがボーダーを超えてない人で、「未華子ちゃん(仮名)、俺に微笑んでくれたなあ。俺に一目惚れしたんだな」と思い込むのが、ボーダーを超えた人(ストーカー)なのだと。

で、そんな事を考えていたら、前にニアミスしたストーカーの事を思い出した。昔、ある背の高い女性と付き合っていた(背の高さはストーカー話とは実は関係ない)。身長175cmくらいあった。俺が177cmだから、殆ど高さが変らなかった(この情報もストーカーとは関係ない)。
本題に戻ろう。彼女は所謂バツイチだった。別に俺自身はそんなことは気にしていなかったが。付き合い始めてから、彼女から「実は私、昔結婚して事あるんだよね」と言われた。別に俺だって、童貞で彼女と付き合い始めた訳じゃない。過去に男がいたとしても不思議じゃない。だから気にしなかった。
彼女と付き合い始めて3ヶ月くらいした頃だった。彼女から、「最近、元旦那が私の周りうろついてるんだよね」と言われた。うーむ、と思ったが俺が出来る事はない。彼女から「元旦那、まだ私に未練があるみたいなんだよね」と言われたが、俺はどうすればいいというのか。
俺が答えに困っていると、彼女が言った。「二人で行ったバーがあるでしょ。そこにどうやら私と元旦那の共通の知人がいたらしいのね。その人が元旦那に、お前の前の奥さん、新しい男連れてるぜ、って言ったらしいの」
なんで世の中には、小さな親切、余計なお世話をする人が多いのだろうか。俺が思うに、ストーカー事件の大半はこういった余計なお世話をする人のせいで、事件が拡大していくと思う。
その共通の知人は更に余計な事に、俺の風貌を元旦那に伝えたらしい。身長170cm後半で中肉中背、髪が肩まである長髪、目つきがちょっとキツメで…等々。全く余計な事である。
また彼女は逆に俺に元旦那の風貌を教えてくれていた。上下革製品を身に着け、ピアスや指輪をしているパンクロッカーみたいな風貌だと。

そしてある日、俺が彼女のマンションに遊びに行くと、どう見ても彼女から教えて貰った風貌と一致する元旦那がマンション前にいた。冗談じゃなく、まるで漫画のキャラみたいに彼女が教えてくれた通りの風貌の男がいた。
あ、やばい。こいつ絶対に元旦那だろう。俺は確信した。マンションの前をうろうろ歩くそいつは明らかに挙動不審で、まともな人間には思えなかった。元旦那はマンション前で彼女を掴まえて復縁を迫ろうとしたのだろう、これは俺の想像だけど。
後になって、なんで彼女はこんなアナーキーな奴と結婚したんだろうと思ったものだが。
冗談抜きに俺は身の危険を感じたので、その場を離れた。彼女に電話し「なんか元旦那にしか見えない奴がマンション前にいるから、今日は行くの止めるよ」と伝えた。そのパンク野郎である元旦那は彼女に危害を加えないのは判っていたし。ただ、そのストーカーから見た場合、「自分の愛する女に手を出すふざけた野郎」=俺、に対してどう行動起こすかは見えなかったから、正直怖かった。

彼女と初めて一緒に過ごすクリスマスを俺は楽しみにしていたが、残念ながらそれは叶わなかった。というのも、彼女が元旦那家族から呼び出されて一緒に時間を過ごす事を強要されたからだった。こうして考えてみると、ストーカーというのは、周りの協力もあるとさらに増大するのだな(この場合はストーカー+ストーカー家族といった感じか)。

その後、彼女と二人きりで過ごした時に、彼女が俺の手を握りしめながら「ごめんなさい」と呟いたのを覚えている。それは彼女のせいではない。無論悪いのは、元旦那だ(と、その家族だ)。

俺だって、正直愛した女性が俺の元を去って別の男へ行ったら寂しいし、つらい。でも、それが運命なんだと思えるような強さを持ちたいと思う。今そんな強さを持っているかと問われたら、その自信はないけどな。
でも、最低限その努力をし、そうありたいと願う。

 

↓下の画像は、その彼女に雰囲気が似ているので、貼りました。参考情報までに(やはり要らない情報だ)。

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