Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

モロッコ旅行5  4日目 海沿いの街 エッサウイラ

今日はエッサウィラへの移動の日。待ち合わせ時間が朝の9時なので、ゆっくりと朝食を摂る事が出来る。ちなみにリヤド(モロッコ版民宿)の朝食はバイキングスタイルじゃなくて、一人一人に朝食を準備してくれるスタイル。
飲み物はコーヒーとミントティーどちらが良いか訊かれたので、ミントティーを選択。せこいよな、両方出してくれれば良いのにさ。

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と、9時にレセプション(フロント)に行くと既にドライバーが待ち構えていた。来た時と違い運び屋のおじさんがいない。仕方ないので自分でスーツケースをワゴン車まで運ぶ。
まあ、エッサウィラに2泊したら、またこのリヤドに戻ってくるんだけどな。しばし、お別れ。
ドライバーにエッサウィラまでどのくらい掛かるか訊くと2時間20分だと言う。ということは、12時前には着く訳だ。昨日も片道4時間のドライブ、今日も約2時間半のドライブ。今回の旅行はスタートのフライトからして長距離移動が基本だ。モロッコは年寄りにはしんどい場所だな(笑)
相方が日本にいる時から見たがっていたのが、アルガンオイルの木に登る山羊の姿。アルガンオイルというのはモロッコ南部で取れる天然油。取れた油は肌や髪に美容効果があるらしい。また、ローストすると食用としても使えるとか。で、そのアルガンの木に山羊が昇ってアルガンの実を啄むのだとか。なんでも地上が暑いから、木に登って涼むとも言われているらしいが…
途中でドライバーが「PHOTO!」と言って減速する。何かと思ったら、なんとアルガンの木に登る何頭もの山羊たち。周りで写真を撮りまくる多数の観光客。うーむ。すげーなー。そしてそのアルガンの木の周りで土産物を売る地元の人達。なんだか、色々な思惑が見てとれて、複雑な気分になる。

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相方は、素直にアルガンの木に登る山羊を見て喜んでいたが…
さらに30分程走ると、今度は海が見える。ドライバーがまた車を停めてくれたので、記念写真を撮る。それにしても日本だろうが海外だろうが、海を見るとテンションが確実に上がるのは何故なんでしょうか? そしてここも多数の観光客。そこに何故かラクダがいた。当然、「ラクダに乗った記念写真を撮りませんか」とやって金を取る算段だ。うーむ、世知辛いというか生活の知恵と言おうか…

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2時間半くらい走り、もうそろそろ着くかな?という頃にドライバーがまた車を停めた。「トイレ休憩!」え? 今更かよ、だったらもっと早いタイミングでトイレ休憩してくれよと思ったが、無論これはトイレ休憩がメインじゃなくて、アルガンオイル直売所に俺達を連れていく為だ(多分)。というよりも、アルガンオイル直売所のトイレを借りてるんだからね、どっちが主目的かは言わずもがな。
トイレを済ませると、案の定アルガンオイル売りの売り子さんが執拗に勧誘してくる。俺は最初からアルガンオイルなんか買う気がなかったので、無視しまくっていたが、女性である相方は商品に興味を示す。そして恋人への土産を画策していた旧友Tも商品を品定めし始めた。相方も旧友Tも何品かオイルを買う。旧友Tは、トータルで1000DH以上(13,000円以上)使っていた。店にしてみれば、上客だわな(笑)

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結局、エッサウィラに着いた頃は1時を回っていた。アルガンオイル直売所で時間喰ったからな。仕方ない。駐車場でドライバーはまた運び屋のおじさんに声を掛けていた。運び屋のおじさんは俺らのスーツケースを台車に載せて、エッサウィラの街をさっさと歩く。エッサウィラの街は建物の扉が青で装飾されていてとても綺麗だ。モロッコで蒼い街というと「シャウエン」が有名だ。実際、モロッコに行くとなった時に旧友Tも「シャウエンはいかないの?」と訊いたくらい(今回は日程的にシャウエンは無理だった)。確かに建物の美しさではシャウエンの勝ちかもしれないが、エッサウィラには海がある。それを考えた場合、エッサウィラも決して負けたもんじゃない。

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さて、エッサウィラの細い路地を運び屋のおじさんはすいすいと進んでいく。俺達は「あれ、まだ着かないのか、結構遠くない?」と不安になっていた。が、後で路地を確認したら、それほどの距離でもなかったし、結構判りやすい目印もいくつかあった。無事リヤドに到着。入口だけ見るとマラケシュのリヤドのほうがお洒落だが、今回の部屋はオーシャンビュー。それを加味するとエッサウィラの勝ちかな、という気がする。

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またまたおじさんにチップを20DH(260円程度)あげて、リヤドに入る。エッサウィラのリヤドは俺と相方で一部屋、旧友Tで一部屋と今回は別々だ。日本にいる時に部屋割りをどうするか旧友と相談してそう決めたのだ。旧友が「お前は俺と一緒でも良いかもしれんけど、やっぱり相方さんは女性だから気遣うだろ。エッサウィラは別部屋にしようぜ」と。そして、それは正解だった。やっぱりいくら親しき仲とは言え、ずっと同部屋というもの気疲れする。

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部屋に入ると、さっそく聞こえてくる波の音。凄いな、超オーシャンビューである。波の音がざっぱん、ざっぱん半端ない。このリヤドもマラケシュのリヤド同様、素敵な宿である。本当に不思議なんだけど、どうして人間て海を見たり波の音を聞いたりすると癒されるのかなあ。やっぱり全ての生物は海から始まっているからなのかしらん?

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物を部屋に置き、まずはエッサウィラを探索しようと3人で出掛ける。エッサウィラは大して大きい街じゃない。「地球の歩き方」の地図を見ても小さい事が見てとれる。急ぎ足で回れば、半日で回れない事もない。でもそれじゃあ、せわしないよな。せっかくの海沿いの街。ゆっくりと歩いて楽しむくらいの心の余裕が欲しい。
とまあ、偉そうな事を言ったが、まずはランチだ。ということで先ほど駐車場からリヤドに向かって歩いた時にオープンカフェが立ち並んでいるエリアがあったので、そこへ向かう。無論、カフェに関する情報なんか何もないので、3人で「どこにしようか?」と相談。相談するも何もないんだけどさ。で、「じゃあとりあえず一番最初のカフェに入ろう」と入る。
ここでも相変わらずメニューはフランス語だ。相方は魚のフライ盛り合わせ。盛り合わせとは書いてないが、値段がちょっと高いので「これはきっと量が多いぜ」と想像する。ぶっちゃけ、値段が高い場合、質が良いからではなくて単純に量が多いからだという事を俺達はモロッコに来て経験で学んだ。俺は魚のタジン鍋。せっかく海沿いの街に来たんだからね、魚のタジン鍋だ(というかさすがにタジンばかりだなー)。旧友は、なぜかスパゲティナポリタン。なんでも「日本のナポリタンは日本独自の進化(変化?)を遂げた。モロッコのナポリタンの進化を見てみたい」とのこと。飲み物はモロッコではお約束の炭酸水。

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率直に言ってこの店の料理は全て外れだった。相方の注文した魚のフライは(メニューにはフリッターと書かれていたが)、骨は取ってないし、味付けは何もしてないし、とても完食出来る代物ではなかった。また量も多く2~3人前だ。俺の頼んだ魚のタジン鍋も大量の骨が出てきて、食べづらい事夥しいし、生臭い。うーむ。そして旧友の頼んだナポリタンは「アルデンテとは無縁の茹で過ぎたうどんの如し。ソースも単調で途中で飽きる」との事。が、旧友はこの後もランチにナポリタンを2回も頼んだので(それぞれ別の店で)、何か意地になっていたのだろうか?
そして言うまでもない事だが、このランチでも我々は蠅との戦いを余儀なくされた。海沿いのオープンカフェ。もう蠅がいないほうが不思議なくらいだ。いて当然なのだ。
不味いランチを終えて、さてどうするかとなったところで相方が「稜堡(りょうほ)を見たい」と言う。稜堡というのは要は城壁だな。五稜郭なんかをイメージして貰えば、雰囲気は近いかも。砲台が多数並んでいる(無論今置いてあるのはダミーだけれども)。
入場料が10DHだ。係員のおっちゃんに支払うと「どっから来たんだ?」と訊かれるので「日本だよ」と答えると「コンニチハー」との挨拶。ここもやっぱり日本人が多数来てるんだなー。

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とにかく驚くのが、カモメの多さ。大量である。なんでこんなにカモメがいるのかと思ったが、すぐに理由は判った。港近くでは水揚げされた魚達を漁師がその場で捌いている。で、内臓や要らなくなった肉片をその辺りに平気で捨てる。そのおこぼれをカモメ達は狙っている訳だ。そりゃ、カモメも増えるわな。

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漁師達が冷蔵庫も氷も何もないところに生魚を置いている。ウツボとかもいたりして、かなり見た目気持ち悪い。それにしても、生でこんな風に置いといて腐ったりしないのだろうか。多分俺が喰ったら、1週間入院しそうだ(笑)

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次はスーク(市場)に行こう、ということでガイドマップを頼りに歩く。ここも旧市街(メディナ)は世界遺産登録されている。最初の通りは観光客相手の店ぽかったのが、門を一つ潜ったら、一気にジモティ御用達の店並びになったのには驚いた。オリーブやパンや野菜を売っているのだが、例外なく蠅がたかっている。多分生ごみを平気で道端に捨てちゃうんだと思う。だから蠅が発生するのではないかなあ。

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旧友はこういったゴミゴミした街並みが苦手なのか、割と早足で通り過ぎようとする。相方は貧民街と世界遺産が何よりも大好きといった人間なので楽しそうにゆっくり観て回っている。俺はうーむと唸りながら相方のペースに合わせて回る。
旧友は「今日は下調べ的に軽く回って、本格的に見るのは明日にしようぜ」と言っているが、買い物本能に火が着いた相方はそんな旧友の思惑なぞ無視して、ガンガン店で引っ掛かる。
土産物通りと呼ばれている通りがあるので、そこを今度は目指す。途中でTARO'Sというアルコールも飲めるレストランを通り過ぎる。今夜のディナーはここで決まりである。エッサウィラは観光客が多いせいか、アルコールを普通に提供する店が多かったように思う。
土産物屋通りで俺は俺自身への土産に木製のドミノセット、サイコロを買う。この通りは100均じゃないけど一律10DHの商品が多く売っていた。ただ残念ながら大きさや精度が非常に中途半端で人への土産にはどうなんだろう?といった物が多かった(笑)

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またエッサウィラはミュージシャンやアーティストが多いというのが売りらしく、北稜堡では絵描きのおじさんが石に絵を描いてそれを売っていた。相方はそれを50DH(650円くらい)で買って、自分へのお土産にしていた。
エッサウィラは非常に趣のある街で、建物自体も物凄く歴史を感じるし(何しろ旧市街が世界遺産だからね)、街を歩いているだけでも楽しい。多分、外国の人が京都の街を歩くと「日本ぽさを感じるなあ」というのに近しい感覚があるように思う。
一旦リヤドに戻り、購入した土産を置いてレストランへ出掛ける。先程通り過ぎたTARO'Sへ行く。ピアノとギターの生演奏なんかもあったりして、なかなか良い雰囲気。

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オープンカフェの2階で食事。ランチがまだお腹に残っている感じなので、旧友にメニュー選びは任せる。で、またまた白ワインを頼む。ワイン好きだなー(というか、アルコールは基本ビールかワインなのだ。ウィスキーは殆ど見当たらない。あっても高いらしい)。

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食事中に雨が降ってきて、びしょ濡れになりながらご飯を食べ、ワインを飲んだり。なかなか面白い。
で、食事も済んだ辺りで旧友が「せっかくだから、ライブハウスみたいな店寄って行かない? さっき何軒かあったじゃない」と言う。確かにリヤド近くに音楽を聞かせる店があったのだ。エッサウィラはあのジミ・ヘンドリックスも影響を受けたというグナワ・ミュージック発症の地なのだ。

ということで、食事の後の2件目はライブハスだ。そこのママ(オーナー?)は、ヒョウ柄のシャツに革の黒パンツという大阪のおばちゃんみたいなファッションの人だった。俺達は勝手に「エッサウィラ・スナック」とその店を名付けた。旧友がヒョウ柄ママに「ウィスキー飲みたいんだけど」と言うと「ウィスキーは高いから、モロッコ産ワインにしときなさい」と勝手にワインを薦められる。客の言う事を無視する辺りも大阪のおばちゃんぽい。

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店に入ってすぐのところに椅子があり、そこに3弦ベースみたいな楽器を持った若者が弾き語りで何かを歌っていた。おお、これがグナワ・ミュージックという奴か。ちょっとジャンル的にはブルースと民謡の中間みたいな感じ。尚、このグナワ・ミュージックのCDを購入したので聴きたい方は言って下さい。音源、ダ×ングしますので。

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ワインとグナワ・ミュージックで俺達も心地よく酔いリヤドへ戻った。翌日もこの「エッサウィラ・スナック」へ寄ったのだから、どれだけ俺達がこの店と音楽を気に入ったか、推して知るべしだ。
こうしてエッサウィラの最初の夜は更けていった。本当、この街は良い街だ。金と時間さえあったら、1か月くらいいたいくらいだ(きっと飽きるだろうけど、そこをのんべんだらりと静かに過ごすのが良いのだ)。

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